読書の時間#405
赤塚不二夫生誕80年企画 バカ田大学講義録なのだ!
文藝春秋(2016)
約半年ぶりの「読書の時間」です・・・
ところで、この本。
赤塚不二夫の生誕80年を記念して企画された講義。東京大学で行われたそうです。
その講師陣が、なんともすごい。
何となく分かるような気がするみうらじゅん氏・会田誠氏(私の勝手な偏見です、ごめんなさい)から実際に東大でお仕事していらっしゃった養老孟司氏まで、様々な分野で活躍されている方がずらり。
みなさん赤塚先生の(そして先生の作品に表現される)バカっぷりを敬愛しておりますが、話す内容は、赤塚先生の作品について語る方もいれば、ご自身がなさっているお仕事が「いかにバカであるか」を語る方まで多様です。その話の内容が、実に楽しい。
バカと天才は紙一重といいますが、赤塚先生は間違いなく天才であり、そしてこの講義で話された皆さんも天才だな、と思わざるをえません。
先日、「マンガをはみだした男 赤塚不二夫」っていう映画を観ましたが、この人の人生はすごかったんですね。漫画でやりたいことをやったんだけれども、それでも飽き足らず、もう漫画もやめちゃっていろんなパフォーマンスを始めちゃった。それが必ずしも一般の人に受けたわけではないんだけれども、遺したものは大きかったっていう・・・
つまり、天才になるかバカになるかは、社会で認められちゃうか認められないかだけで、人よりも飛び出ちゃっているのはどちらも同じなんですね。
でもこれを読んでいくと、「この人たちは本当にバカなこと考えているけど、本当にバカなのか?我々みたいなバカとはどう違うのか?」という思いが湧き出でてきます。
そして最後の、赤塚先生の娘さんの赤塚りえ子さんによる、「父の遺した、こんな言葉」の中の一つ。
「ただバカっつったってホントのバカじゃダメなんだからな。知性とパイオニア精神にあふれたバカになんなきゃいけないの」
そうかー、そういうことか。バカも努力が必要だ。
なんだか腑に落ちました。