日本熊森協会宮崎県支部主催の天然林ツアーに参加しました。
大分県佐伯市の藤河内というところ。山深い渓谷です。
なんでも渓流釣りの好きな支部長が、この渓谷の沢沿いのあちこちを歩いていた時にたまたま見つけたのだそう。
延岡市内から車で約50分。
国道325号が大分県に入るあたりから細くカーブの多い林道に入ってゆきます。
渓流沿いには遊歩道もあるそうですが、そちらには行かず、車を止めてさらに林道を歩きます。
林道沿いの崖は岩盤で、その上に薄い土壌の層が載っており、そこから木々が生えています。
その薄い土壌の下の岩盤を伝って、いたるところから水が湧き出ていました。
どうですか、この、色鮮やかな苔!ゴツゴツした岩肌を柔らかく包んでいます。
林道をどんどん歩いていきます。
30分ほど歩いて、林道から沢の方へと降りました。
大きな木に、苔がびっしりと着いています。
この苔に包まれた岩は、座っている人みたいでしょ?
写真中央に石積みのようなものが見えますでしょうか?
数百年前まで、この辺りには人の手が入っていたようだとのこと。
一面、緑色の世界。
しっとりとした空気とほどよい明るさが心地よく、いつまでも居たくなるところ。
人の辿り着けない奥山にはこのような森は多く残っているでしょう。
しかし、この場所のように、人が容易に辿り着けるところにも残ってほしい。
苔にもいろいろな種類があります。
大きな岩の表面に、苔に混じって様々な植物が。
地面に無防備にゴロンと転がっている苔玉。これで生きていけるのですから、この地が常に湿潤を保った場所であることが分かるでしょう。
持って帰りたくなるくらい、可愛らしい。(持って帰ってはいけません。)
巨木と、それに絡む太い蔦、それらを包む苔。
地面は朽ちた枯葉が堆積し、自然の腐葉土でフカフカし、歩いていて気持ちがいいのです。
側には、気持ちの良い沢がありました。
イワタバコです。紫色の、小さな涼しげな花を咲かせていました。
人が管理しなくなった人工林を、自然の森に還す。
これ以上自然の森が伐採されないよう、トラスト運動によって保全を図る。
そんなことを、この会はやろうとしています。
今回訪れた森はそのモデルの一つともいえますが、この様にして自然に還る森を増やし、動物が棲める場所を増やし、人と動物が棲み分けられる環境づくりを目指します。
私たちの子孫たちに、この豊かな森を残してゆくために。
帰り道、林道の水たまりに、オタマジャクシが泳いでいるのを発見しました。
この水たまり、一年を通して水が枯れることがないのでしょうね。