ツブヤキ#239
約4ヶ月ぶりの更新です・・・
1ヶ月ほど前、「蔵元 綾 酒泉の杜」に遊びに行きました。
雲海酒造という蔵元の工場と、レストラン・宿泊施設・温泉などが一緒になった観光施設です。県外からも多くのお客さんがやってくるようですが、夏休み特別企画で映画「チェブラーシカ動物園へ行く」「ちえりとチェリー」が上映されるというので観に行ったのです。どちらも中村誠監督によるパペットアニメで、前者はロシアで国民的人気を誇るチェブラーシカの映画の新作、後者は少女と猫のぬいぐるみの物語。映っているのが人形であるということを忘れてしまうほどなかなかよくできて、ちえりとチェリーのストーリーも懐かしさを感じる不思議な世界をうまく表していて、子どもも私たち大人も夢中で見てしまいました。
それはそうと、映画が終わった後、会場の出口を出てすぐの所に、無料で金魚すくいができるコーナーがあったのです。それを見て娘が金魚すくいをしたいと言い出し、うちでは飼わないからね、すくっても戻すのならいいよ、と返すと、娘はわかった!と子どもたちにまぎれてに金魚すくいを始めました。
しばらくして金魚すくいを終えた娘は、水の入った小さなビニル袋を見せて、ねー?飼いたい!と懇願するではありませんか。ビニル袋の中には小さな金魚が3匹泳いでます。
娘には、家族が宮崎と埼玉で離れて暮らしている時に、飼った金魚を世話できずに公園の池に放した・・・という前歴があったらしく、どうせ世話できないからだめ、と断りました。しかし娘は「ちゃんと世話するから!」と何度も何度も訴えてきます。1回チャンスを与えようかと思いました。
「金魚はおもちゃじゃなくて生きているんだよ。毎日エサをあげたり時々水をかえたりしないと死んでしまうんだよ?できる?」と訊くと「ちゃんとやるから」と娘は答えました。
あと一つ条件を与えました。それは、金魚に名前をつけること。名前をつけてあげれば愛着もわいて命を粗末にすることもなかろう、と思ったのです。
せっかく娘が飼うと決意したのですから、飼うことができる環境を整えてあげようと、ホームセンターで小さな水槽を買いました。
車の中で揺れに揺られた金魚たちは、ようやく新しい住まいにたどり着きました。
娘は夜になったら、「明るいと金魚が寝れないから」と、バスタオルを上からかぶせてあげてました。
大・中・小の3匹の金魚。
どんな名前にしようか?
食事をしながら家族で考えました。
「エス・エム・エルがいいんじゃない?大きさが大中小だから」
「ブー・フー・ウーは?」
・・・
などといろんな案が出ましたが、私が
「イエス・マリア・ヨセフにしたら?」(クリスチャンらしい提案で)
と半ば冗談で言うと娘が
「それにする!」
ということで、金魚の名前は
イエス・マリア・ヨセフ に決まったのでした。
一番大きいのがヨセフ、中位がマリア、一番小さいのがイエス、だそうです。
ところが・・・
約1週間後、イエスが死亡。
水槽の中の、ポンプの管とガラスにはさまっていたのを見つけた娘は、「一番なついてたのに・・・」とわんわん泣きました。
しかしその次の日。
今度はヨセフが死亡。
いつものように朝、水槽にかけていたタオルをとったら、水面にヨセフが浮かんでいたようです。
前日のイエスの死を受け入れたためなのか、ヨセフが死んでショックではあったものの、娘は落ち着いていました。
残るは一匹、マリアのみ。
どうして2匹は死んでしまったのか?
振り返ってみると、娘が水槽に手をいれると金魚が寄ってきて指をちゅうちゅう吸うものですから、よく手を突っ込んでいたので、娘は金魚が喜んでいたと思っていたけど、金魚にとってはストレスだったのかもしれない。あるいは単に、体質が新しい環境に合わなかったのかもしれないし、仲間同士ケンカして疲れたのかもしれない。
もう金魚はそっと見守ってあげようね、と娘にいいました。
******
その数日後、埼玉の実家に帰ったのですが、うちで金魚を飼った話を親にしましたら、宮崎に戻る前に、親が娘にメダカをプレゼントしてくれました。
私の両親はここ数年、メダカを飼っているのです。
娘は喜びましたけど、このメダカたちを宮崎に持って帰るには、ずっと手で持っていくしかありません。
ビニル袋の中の5匹のメダカは、空港までの電車ではその振動で揺れに揺れ、空港では保安検査場で他の荷物と一緒にX線の機械に通すのは気がひけて「機械に通さないでほしい」と頼みましたら、ハンディタイプの金属探知機をかけてくれました。人間と一緒の扱いです。飛行機に乗っても気圧などで弱ったりしないだろうかとやや心配でしたが、無事宮崎の我が家に到着。
金魚が棲む水槽でメダカを一緒に飼ってもいいかどうか調べてみると、できれば水槽は別にしたほうがいいようでしたので、とりあえずガラスの花瓶に水を入れ、そこにメダカを放しました。
メダカは元気に泳ぎ回りました。人間たちは旅疲れでくったりしました。
次の日、金魚鉢を用意。
金魚の成長は早いもので、マリアの大きさは、我が家にきたばかりのときに一番大きかったヨセフの大きさを超えました。水槽に1匹だけ暮らしているのでゆうゆうと泳いでますが、娘は「一人で寂しそう」と言います。
メダカは5匹いるのでにぎやかです。
娘は毎日、ちゃんと朝晩この魚たちに餌をやり、夜になれば水槽と鉢にバスタオルをかけ、朝になればそれを取り、そして時々、水槽と鉢の前に座り込んでこの魚たちを眺めてます。
金魚とメダカは、娘の中で「生き物」から「家族」に変わりました。
私も時々、この魚たちをぼーっと眺めていると、気持ちが安らぎます。